ガテモタブン ショップカード1

ガテモタブン GatemoTabum

30年以上続いている飲食店はあらゆる意味で名店だとおもいます。東京都渋谷区代々木上原の商店街で継続的飲食店を作る、可能な限り30年以上、という発想のもとにできたのがガテモタブンです。アトリエタイクの臼田が大学文化祭で生ホッピーとブータン料理の模擬店「ブータンキッチン」を開いたことに端を発しています。ブータンに精通している面々と共にアトリエタイクが企画、経営、デザインなど、店舗にまつわる実践の全てを行っています。

デザインの仕事では飲食店クライアントと関わることも多いのですが、実際の経営や運営では理想と現実のギャップが存在します。私たちは現場に当事者として関わることで、理想を追いながらも現実的に調停するということを実体験し続けています。

さて、どこにいってもよく聞かれる店名の意味をお答えします。ガテモはブータンのゾン語でWhere is this?(ここはどこ?)。タブンはBhutanのスペルをいろいろ入れ替えて日本語の「たぶん」です。「ここはどこ? 多分、、、」

お店のロゴマークやショップカードには鳥が描かれています。鳥はトウガラシが大好きで、なんと動物界の中で唯一、味覚として辛味を感じないらしいのです。歯がない鳥はタネをほぼ丸呑みで、その後タネは様々なところで落とし物に混じります。鳥たちが地球上の植物を拡散させる役目をになっているのも頷けます。そして、こんなにもたくさんのトウガラシを食べる国はアジアではブータンが随一でしょう。

“たぶん” 1羽の鳥がトウガラシを咥えてヒマラヤ山脈を超えて、日本にやって来て代々木上原のあの場所で種をポトリと落としていき、この店ができた。そんな空想の物語を背景にして生まれました。

ガテモタブン ショップカード2
ガテモタブン 店舗1
ガテモタブン 店舗2
ガテモタブン 店舗3
ガテモタブン 店舗4

何年も続いている飲食店はどうやってつくるのか、つくられていくのか。通常、店舗は最も綺麗な状態、建築でいえば完成時にもっとも意図された状態とすることが多く、余計なものを排除して記念撮影されるはずです。デザイナーにもその願望と欲求は存在します。できる限り自分たちの意図通りにこだわっていく。しかし、30年以上続いている飲食店はほぼこの要件を満たしません。どうしてそのボロボロの椅子を使うのか、植木鉢を置きすぎではないのか、などなど。意図しないものが機能的理由や偶然置かれて、放置される時、物質の変化がいい塩梅になることがあります。台湾の店舗風景にもよくあり、日本人が懐かしい「昭和っぽさ」を感じるのもそういったことです。しかしこれ、狙って短期間で組み立てようとすると、相当難儀であり、ほぼいやらしくなります。また、放置しすぎるとただ汚くなります。

ガテモタブンの入口には100kg近くのベートーヴェンが置いてあります。当初はなんとなく質量感が欲しかっただけです。機能性もなく邪魔なため、何度も撤去の危機にさらされました。オープン6年目の改装工事のあるとき、大工さんたちがいつもの場所から別のところに避けておいたところ、通りがかりの小学生が「あ! ベートーヴェンがいない」と言い出し、しかも何人もの小学生達が発言していたそうです。ベートーヴェンに気付かない大人は多いですが子供たちにはちょうど目線が重なります。特に意図なく放置されたベートーヴェンが街の子供たちと特別な関係を構築していました。30年後、この子供たちが大人になって来客した時、どんな風景としてガテモタブンが彼らに映っているのかとても楽しみです。

ガテモタブン シール