
日本で最初の公共劇場専属の舞踏団であり芸術監督で演出振付・舞踏家の金森譲氏が率いるNoism(ノイズム)。公演前のポスターをつくる時まだ何も決まっていない段階で始まる事が多く、金森氏の頭の中だけに作品の輪郭が存在します。作品構想をできるだけ聞き出し抽象的な言葉に含まれる断片的ヒントをもとにこれから舞台上で繰り広げられるであろう一瞬一瞬を勝手に想像するのです。そしてその行為の中で自然に発生してきた色調や形状が偶然、芸術監督の中にも湧いていることがあります。不思議な事にこういう事が良く起きるのです。公演初日、予告したイメージを遥かに凌ぐ公演を見届けてポスターたちの役目はおわります。


ZONE
最初に伝えられたことは「中島みゆき、春、見えないくらいに早い、領域」というキーワードのみ。Noismで最初のこの仕事は金森氏の呼吸を感じ取り反応して動くまるで我々も一緒に踊っているかのようなやりとりで作られました。春という季節に感じる「止まっているようで動いている、とらえられそうでとらえられない時間の領域」。私たちがテーマに掲げた、すばしこくて捉えられないものの例え「陽炎稲妻水の月」という慣用句がいつしかこの演目の副題となっていきました。とらえようのないものを撮るためにとらえようのない静物たちで実際に舞台セットを組み自由に踊ってもらいました。そして本番はアカデミック、ノマディック、サイキックという三部作。



ZAZA
『A・N・D・A・N・T・E』『囚われの女王』『ZA-ZA』という三部作。韓国に「ポジャギ」という風呂敷のように使う伝統的な布があるのですが見た目のイメージはそこからインスピレーションを得ています。ある無関係な布(断片)が縫い合わされて1枚の大きな布になり新たなイメージと用途が生み出されているもの。芸術監督からきたヒントは「時、間、同語反復」だけでしたので、ZとAのアルファベットを組み合わせてなんだかいろんなゴチャゴチャ要素をオイラー小道という「周遊できる閉じた小道」の法則で縫い上げました。
にいがただからだ
新潟だからだ。新潟だ身体。新潟だから、だ。から生まれたフリーペーパー「にいがただからだ」はネーミングを始め企画、編集、制作、デザインの全てを担当しました。コンテンポラリーダンスという摩訶不思議な世界へどうやって別のルートから迷い込んでもらおうかと試行錯誤し、第一号Vol.1では金森穣氏と井関佐和子氏による「身体的 柿の種食感テスト」では亀田製菓さんにもご協力いただき、秘密の製造工場まで見学させていただきました。